なぜ英国でダンスがこれほど発展し、活用されているのか?
英国では、ナショナルダンスエージェンシーが全国に10あり、2004年時点で、地域におけるダンスの活動が年間7万5000件催され、毎週480万人もの人々がダンスに触れています。小中学校でのワークショップはもちろんのこと、高校生や大学生など若者のみならず、障がいをもつ方や高齢者のダンスカンパニーも数多く存在しています。また、少年院などの更生施設でもワークショップが行われています。これらは総称して、“コミュニティダンス”と呼ばれています。
なぜ英国でダンスがこれほど発展しているのでしょうか。ナショナルダンスエージェンシーの「ザ・プレイス」ラーニング&アクセス部ディレクター、クリストファー・トムソン氏によると、「20世紀後半に英国の産業が崩壊し、産業によって支えられてきたコミュニティが壊れていったとき、社会を再生させるには国民一人一人の“創造力”が最も必要だということに気づいた。そして、その“創造力”を育てるのはアートである。なかでもダンスは、子どもから大人まで、障がいのあるなし、言語に関わらず誰でもできる。“創造力”や“表現力”そして“コミュニケーション力”を高めるだけではなく、不登校の子どもや、更生施設など、現代社会の課題に対してもダンスが有効であると認識されている」。これはまさに現代の日本社会にもあてはまるのではないでしょうか。既存の価値観が崩壊しているいま、“創造力”そして“コミュニケーション力”が必要とされています。
『ダンスライフフェスティバル2008 』では、英国からコミュニティダンスに取り組んできた方々を招き、東京と京都でシンポジウムをおこないます。
さらに、アメリカから三度目の来日となる「リズ・ラーマン・ダンスエクスチェンジ」、英国から健常者と障がいをもつプロダンサーで構成されたカンパニー「ストップギャップ」、インドネシア・バリ島から究極のコミュニティダンスといえるケチャの指導者リノ氏を招くほか、日本のアーティストによるコミュニティダンスを札幌・富山・岐阜・福岡にて開催します。
このフェスティバルを通じて、教育、福祉、まちづくり、健康などさまざまな分野とダンスとの継続的な協働がより深まり、ダンスの力がこれからの日本を形作る一助となるような仕組みづくりがスタートすることを願っています。
*コミュニティダンスとは、ダンスアーティストと一般の人々が一緒に創造的な活動を行うことです。
誰もが踊ることを楽しみ、自己をクリエイティブに表現する方法を体験することにより、表現や価値観の多様性を知り、身体的にも精神的にも活力のある生活を育みます。また、誰もがダンスに触れ、参加できるような環境が作られることで、コミュニティが活性化され、芸術形態としてのダンスの質もより向上し、新たな雇用も生み出されていきます。
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総合案内
・本フェスティバルに至る経緯
・参考資料1
地域創造
マスターコース報告書
・参考資料2
イギリス・コミュニティダンス
の現状視察報告書
・参考資料3
TPAM08報告書
(コミュニティダンスセミナー)
・東京/京都シンポジウムVTR
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